還暦男のつぶやき

自己満足のエッセイ

カーリングという競技(前編|少し真面目に考えた編)

「なぜカーリングの五輪代表は選抜メンバーの編成ではなく、チーム単位なのか?」

先日ロートレック展に行ったのでお気に入りを(本文には関係ありません)

私の以前からのささやかな疑問だが、先日のNHKBSの北京五輪クのカーリング女子チームの準決勝スイス戦のドキュメンタリー(再放送)を見て、私なりに納得のいく答えがでた。それは、臨時編成チームでは、有効なコミュニケーションがとれないからではないか。      

どんな団体競技でも、コミュニケーションが重要と言われるが、カーリングの特異性はプレーの合間に、毎回メンバー全員双方向でコミュニケーションをとることだ。他のスポーツは、メンバー同士で話し合うことがあっても、全員で話し合うケースはない。野球のようにマウンドに集まっているケースでも、コーチからの指示が中心で、ゼロから話し合っているわけではない。まして、サッカーやラグビーなどは、瞬時のコミュニケーションで「阿吽の呼吸」が求められる。

カーリングは、番組の中のインタビューで吉田選手も話していたが、お互いわかっていることでも、1回1回敢えて口に出して確認しあう。時間の制限があるとは言え、結構な時間を話し合いに使う。いわば阿吽の逆だ。

ここに、選抜チームではなく、チーム単位で選考する理由があると私は感じた。氷上のチェスと言われるくらいだから、何手か先を読む必要がある。ストーンを投げる前の戦術の妥当性、またメンバー全員がその都度プレーに参加することから戦術に対する納得性が求められるので、実際にプレーする前(ストーンを投げる前)の重要性が他のスポーツより高いのではないかと。

選抜の混成チームだと、この流れがスムーズにいくだろうか。一流メンバー同士だと、「すぐに納得できる解が見つかるか?」「多少疑問があっても決まったことに本当に集中できるか?」など、さまざまな疑問符がつく。やはり、一定レベルのスキルを持っていれば、長期にコミュニケーションをとったチームの方が強いのではないか。つまり、「1×4<0.8×4+アルファ」。まったくの素人考えだが、冒頭の番組を見て私の長年の疑問が、自分なりに解消できた。

また近年、チームワークを学ぶために、研修でカーリングを取り上げる企業もあると聞く。ただ、ストーンを投げるのが精いっぱい、ちょっとスイープすると息切れするような人間が、やっても何も学ぶところはないような気もするが、いずれにせよカーリングというスポーツは、これからの組織運営のヒントが満載だ。

スキップというリーダーはいるが絶対的な権限を持たない、コーチが試合中にアドバイスできるのでは限られている。何よりも選手判断でギブアップをするスポーツなんて聞いたことがない。近未来の組織の在り方として注目されている「シェアド・リーダーシップ」「ティール組織」を象徴するのが、北京五輪日本女子代表カーリングのチームだと思います。