還暦男のつぶやき

自己満足のエッセイ

第二新婚生活

       


30数年勤めた会社を退職、同時に11年を超える単身赴任を終え妻と改めて同居してから3ケ月経過。この11年間で既に二人の子供は、結婚、就職で家を出ており、久しぶりの二人の生活だ。

この11年強、会社から帰省旅費が支給されることもあり、コロナ前までは頻繁に帰省していた。その時は、1・2泊してまた勤務地に戻るので、妻からしたら「お客さん」状態。「今日は何食べたい?」と親切にきいてくれ、それに応えようとしてくれた。

ただ、盆・正月などの長期休暇の際、3日を過ぎたあたりから、少しずつ雲行きが怪しくなってくる。調子に乗って、「今日の晩ごはん何?」などと訊こうものなら、「もう、面倒くさい、ご飯ばかり考えるのは」となる。更に、お互いの生活起床時間、風呂の時間違いから生活リズムも異なることも双方のストレスに。私が、物を散らかそうものなら叱責の嵐、チョットしたものの言い方で売り言葉に買い言葉・・・。

夫婦と言っても、所詮は他人。もともとお互い違う習慣で暮らして来た者同士。子供と一緒に暮らしていた時代は、子供中心の生活となるため求心力が働き、お互いの違いは気にならない。しかし、子供が巣立った後は、お互い遠心力が働く。それが、単身赴任で自分の好きなように暮らす生活が11年超えるともう、遠心力というより、すでに双方に重力がなくなっている状態といえる。

単身赴任を終える直前、知人からアドバイスをもらった。その夫婦は同居だが、お互いに無干渉、自分のことは自分ですることを徹底しているという。更に冷蔵庫の食材も夫婦別とか。また別の女性からも、「旦那との接触の機会を減らす」ようにしているという。

こういった声を参考にしながら、妻のストレスの原因を考えると、結局ストレスは、「旦那と必要以上に一緒にいることで生じるチョットした行き違い」「旦那の食事のことを考える精神的な面倒くささ」「旦那の分まで家事が増える物理的な負担の増加」に起因するものと考える。

ということで、「第二新婚生活」初日から以下の3つを始めた。

1.部屋は完全に別にして、接触機会を限定 ➤ 嫁いだ娘の部屋を自分の部屋として、寝泊りもそこで完結

2.朝食・昼食は原則妻の世話にならない ➤ お互い自分の好きな時に好きなものを食べることで、妻の食事ストレスを軽減

3.夕食後の食器洗いは、私が行う ➤ 妻は料理が得意で私が入る余地はないが、食器洗いで妻の負担を軽減

で、その成果はというと、今のところ何とかうまく行っている感じ。ただ時折、「私の食器の洗い方が雑」とかで叱責を受ける。他にもチョットした家事手伝いをするが、ミスも多く、なかなか私の家事にには妻から信頼を得られない。偉そうに言われるのは正直、腹が立つが、心の中で妻に「家事の弟子入り」をして、できる範囲を広げようと思っている。

結局、「第一新婚時代」との違いは、「距離感」に行き着くのではないか。「第一新婚時代」は、最初はぶつかり合うことで双方の石の角がとれてそれなりに収まる時期、「第二新婚時代」は、石ができる限りぶつからないように距離をとる時期。夫婦にとって様々な形があるだろうが、わが夫婦はそうではないかと、私が勝手に思う次第である。