還暦男のつぶやき

自己満足のエッセイ

徳川家康は「パンドラの箱?」「ルビコン川?」

 

私は社会に出てから、読んだ本のタイトルをノートにつけるようにし、現在はネットの「読書メーター」に遍歴をアップしている。社会に出てから35年以上経過していることもあり、約1800冊、途中、資格試験の勉強や仕事が多忙な時期もあったが、それを除くとおおよそ1週間に1冊のペースで読んできたことになる。

かつて行った日光東照宮「見ざる言わざる聞かざる」

別にこれくらいの読書など、世の中にはもっとすごい人がいるので、特筆すべきではないが、私のような飽きっぽい人間が、よくこれだけ読んだものだと、自分としては少々驚きだ。

読書法としては、若い時に何かの本で、「たくさん本を読むのなら、同時に複数の本を読むべき」との記事を読んだ。同じ本ばかりだと飽きるからだ。以降、私は併読を心掛けてきた。小説とビジネス書というように。更に、ハードカバーと文庫・新書というようにサイズも分けて、TPOで読む本を使い分けるようにもした。

でも、10年近く前から電子本(kindle)に変えてから、併読のしかたがもっと激しくなった。持ち運びの苦労がなくなったこともあり、4冊程度を併読することが普通になった。欲しいと思った本がamazonですぐ入手できることも冊数が多くなった原因だろう。

また、英語の原書も併読に加えるようにもした。といっても、私は決して英語ができる方ではないので、平易なものを、英語学習の一環として読んでいる。Kindleだと、わからない単語があっても、タップするだけで単語がわかるので、読みやすいからだ。

でも併読冊数が増えた最大の原因は、「集中力の減衰」だ。ネットの普及で、この20年くらいの間に、「人の平均集中力は12秒から8秒に縮まった」らしい。更に私の場合は加齢による集中力の欠如ということもあるだろう。若い時のように、一冊の本を夜遅くまでつい読んでしまう、ということはもうあり得ない。とっ換え引っ換え、読めばいいと思って割り切っていた。

でも、今年に入って、山岡荘八の大作「徳川家康(全26巻)」を読み始めた。退職して少し時間ができたら読もうと、20年以上も前から思っていたことを実行に移した。でも読み始めるにあたり、表現が適切かどうか怪しいが、自分としては「ルビコン川を渡った」「パンドラの箱を開けた」心境だった。

「今年中に読み終わらないのでは」「長期にわたって一つの作品を読み続けるスタミナがあるか」「登場人物を覚えきれるか」「他の読書の邪魔をするのでは」・・・・等々。

恐る恐る読み始めて3週間。他の3冊と併読しながらも、徳川家康だけで1冊/週のペースと今のところ出足は上々。さすが不朽の名作、読者を惹きつけて離さない。少なくとも今年の前半は、「徳川家康」を中心に、なんとか充実した読書生活を送れそうだと一安心している。でもまだまだ先は長い。「『徳川家康』を読み切る」 ささやかな今年の目標が一つできた。